USED情報 VESPA 125 Faro Basso VN2(1957)のご紹介です
最近の当店では表立って取り扱う事も少なくなりましたオールドタイマーVespaのUSED車両をご紹介致します!
フルレストレーションされた車両では御座いませんが生産後60年余りの時を経ないと出し得ない佇まいを存分に楽しんで頂ける車両かと思います。
このVN2、当店の原点とも言える奥多摩時代に販売させて頂いた1台。当時は素性の良さから必要最低限箇所のメインテナンスを行っただけで納車させて頂きました。お乗り頂いていた前オーナー様や周りのご友人達が旧Vespaに造詣の深い方だった事も幸いし以後も大きなトラブル無しに現在まで実働状態を維持されて来ました。しかし最近ではお乗りになる時間も無く、、、それならばと今回当店へ里帰りした次第で御座います。
今回は歴史を感じさせる外観は極力そのままに乗って楽しむ為に必要な箇所を重点にリペアしお届け致します。それではVespa 125 Faro Basso VN2の詳細を御覧ください!
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SOLD OUT
当店HP(USEDコーナーは此方)
俗称 Faro Basso、日本ではフェンダーライトと言った方が馴染みが深いと思います。Faro(ライト)Basso(低い)と言う意味なのでほぼそのまま。 因みにワイヤー変速に変わる前のフェンダーライト(別名ロッドチェンジ)はCambio Bacchetta(カンビオ・バケッタ)直訳すると棒式変速機なんて呼ばれていますが元々はワイヤー式ディレイラーが普及する前の自転車用変速機の名称からきている様です。
VN2はVespaの歴史において最終型のフェンダーライトとなります。同時期には150ccのVL(通称スワンネック)やVespa初のスポーツモデルであるGSが既にデビューしていますのでボトムラインを埋める廉価版Vespaとして販売された様です。廉価版の最終型故に前モデルのVMからは元よりマイナーチェンジ前のVN1と比べてもVN2独自のポイントはいくつか御座います。
外装に関しましては画像では何とも伝わり難い所では有りますがオリジナルペイントの上からザッと粗目にリペイントされている状態です。ただしリペイント自体もかなり昔に行われた様で好意的に考えれば悪くない風情を醸し出してはおります。
リペイント下に隠れたフレーム状態に関しては見る限り腐りや大きな変形、穴あきは皆無でかなりの良コンディションと判断します。唯一残念な点と言えばフロントフェンダー左側面に修正跡が見られる事。塗装の下に厚めのパテが盛られ均さずにペイントといった具合です。しかしFフェンダーのフォルム自体は多きく損なってはいませんのであくまで客観的になりますが物凄く気になってしまう程では無いかと思います。
その他のフレーム以外の外観については見ての通りほぼ全ての部品がオリジナルで埋め尽くされています。目につく所ではグリップラバーやワイヤーエンド&配線の保護ラバー+チューブ、ハンドルスイッチ、Vespaネーム&PIAGGIOバッジ、前後シート、ステアリング&ツールボックスロック、ヘッドライトリム&レンズなどマニアであれば拘りたい箇所が当時のままなのは嬉しい所です。
このグリップは歴史を重ねた車両にしか出せない色合いです
欠品もしくはリプロ品に交換される事の多いチェンジ側カバーもご覧の通りです、ただしプラ製のピンは全て抜け落ちているのが残念ではあります。
ボディ側カバーも同様にオリジナルが残っています。ワイヤー保護チューブも当時のものです。
スイッチも同じく(止めビスが+に変わってしまっていますが・・・)
Vespaネーム&PIAGGIOバッジもオリジナルです。ここで一つ疑問なのがVN2は通常アルミ製のPIAGGIOバッジを3点のリベットでレッグシールドに固定されていますが現車はVM等と同じ裏側の爪を折るタイプのもの。VN1はVMと同じですのでVN2も初期ロットは以前のタイプと同じバッジの流用だったのかも知れません。Vespaネームは本来メッキでは無くグリーンに塗られていますが流石に塗装は剥げ落ちています。
縫い目から裂けてしまってはいますが貴重な純正シート、年月を重ねると表皮が縮みタイト感を増すのですが其れが過ぎると流石に裂けてしまいます。雨の日とかに乗らないのならばこのままで残したい所ですね。因みにマイナーチェンジ前のVN1はもう一回り小ぶりなシートが標準です(Model"U"と同じ)
AQUILAバッジも当然リプロのそれでは有りません
基本タンデムシートに関してはオプション扱いなので前後で表皮の色合いが異なるのは特に大きな問題ではありません。逆にリアの通称弁当箱シートはベースが木材や成形材だったりして中身もろとも朽ちてしまってるケースが多く意外ときれいに残ってる物は少ないです。
Vespaロゴ入りのステアリングロック。60年代中期までのVespaはロック時にキーが抜ける仕組みだった為に意外とオリジナルキーが紛失してるケースの方が少なかったりはします。
こちらはオプションのボックスキー。これも当時のオリジナルと思います。(一部ロック部分のパーツが近年に入れ替えられてはいます)
純正SIEMのライトリム。メッキは完全に剥がれ落ちていますがSIEMロゴがはっきりと分かります。これもリプロとは若干ロゴ形状が異なるので拘りたい部分です。VM以降からライトケース上にマーカーが付きます。
レンズももちろんSIEMです。リム固定のベロ部分もVN2ならではの形状です。
テールランプ&ストップは社外のナンバーホルダー一体式(ダルマテール)が付いております。年式的には合っていると思います。またナンバーホルダーに取り付けてありますインペリアル県のナンバーも勿論そのままで納車させて頂きます。
もちろんホーンもオリジナル。
ミッキーさん!
リアのスペアタイヤです。今回は前後スペア含め3本とも新品に履き替えて納車させて頂きます。予定ですがパターン的に雰囲気の合うコンチネンタル製のLBを使用予定です。
フロアは左右下面共にご覧の通り大変綺麗な状態です(黒い箇所はオイル滲みに埃が積もった物)。整備段階でエンジンを下ろしますのでフレーム単体状態にし完全に清掃致します。その際は現在ビス止めのフロアレールも一旦分解後しオリジナル同様の叩きリベットを使用し固定し直します。よく50年代までのワイドボディと其れ以降のナローボディではフレームに使用する鉄板の厚さが違いワイドボディは腐りに強いと言われています。そして60年代後期になると更に薄くなりGT,Sprint,Rally~あたりから経年劣化のフロア腐りが目立つようになります。現車はフロア裏のリブ潰れも有りませんし凹みやうねり、ましてや腐り穴開きも御座いません。旧Vespaをレストアするにあたり何が一番厄介かと問われればフレームコンディションの悪い車両となります。最近でこそ50年代フレーム用リペア外装がリプロされていますがそれとて高度な板金技術やスポット溶接機等の工具が無ければ始まらない話です。良好なコンディションのフレームか否かは今後の車両の運命すら決定づけてしまうと考えます。
ブレーキペダルとキックレバー。前モデルVMとは違い両方ともラバーが付かないタイプでそれ自体に滑り止め加工が施されたタイプが付きます。キックに関してはその後に出るスモール・フレームとほぼ同じ形です。
リアのエンジン側、ボックス側パネル共にVN1からそれ迄のアルミ製からスチール製に変わっています。しかし形状はVN1とも違い同時期のVLに近い(同じ?)大きさになります。
ファンカバーはVN1とは違いVLやGSと同じ形状のものが付きます。
エンジンは現在も調子よく動いてはいますが今回完全分解の後に各部チェックを入れOH致します。ガスケット、オイルシール、各ベアリング、クラッチ関連、ギア関連など消耗部品を中心に新品交換予定です。電装系に関してはポイント、コンデンサーを始めとする点火系部品の交換、配線類も全て交換とします。またワイヤー類もインナーアウター含め交換致しますがアウターについては現行の物を使わずクロスチェック模様の旧パターンアウターを使用致します(ハンドル部分など一部露出する為)。電装は基本6Vのままで組みますがご要望があれば12V電装CDI点火にも換装可能です(別途部品代等が発生します)
TA18キャブレターです。流石にこの年代ですのである程度の経年劣化は避けられませんが現在ではジェットやフロート関連の新品パーツも多少は入手可能なのでその辺りを軸にリペア致します。
如何でしょうか、ちょっと駆け足でVNの特徴も含めて現車紹介をさせて頂きました。ご覧の通りピカピカのレストア車両では御座いませんし、オリジナル塗装を維持したレアコンディションでもありません。ただし見えない部分も含め素材として考えれば大変貴重な1台と言えます。しつこくなりますが今回当店が本来得意とする外装の板金塗装は行いません。理由は色々とあるのですが現車の状態であれば急いで外装を繕わないと手遅れになる様な車両で無いのも理由の一つです。また板金塗装も含めたフルレストレーションでは車両金額も簡単に大台を超えますし納車までの時間もたくさん頂く様になってしまいます。
今回は古い貴重なVespaを比較的お求めやすい価格で尚且乗り物としてのコンディションを出来る限り優先させて頂く形を取らさせて頂きます。
以上、勝手では御座いますがVespa 125 VN2 ご検討頂ければ幸いで御座います。